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朝日が眩しい。窓から差す太陽光に目を細め、カーテンを引っ張る。
――ティルル……――
早朝から電子メールとは、暇な奴だな、と思い携帯電話を開く。
「今から会えないか?」
其れは旧友で、共犯者の有人【ヨウレン】からだった。
「少しだけなら…っと」
俺は短く返し、冷蔵庫をあさり、適当な食材を手に取って、フライパンに乗せた。
――ティルル……――
テーブルの上で、携帯電話が鳴り響くが、火を扱っている今、有人には悪いが手が離せない。
「返事早いんだよ、坊っちゃんのくせに」
嫌味たっぷりに言い、料理を皿に盛る。
「我ながら最高の出来」
「いつもなら焦がしちゃうのにねぇ~?能兄」
「ねぇ~」
料理の薫りに、別室からやかましい双子がやって来る。
「うっさい、黙って食って、さっさと帰れ!!」
こいつらは近所のマフィアの御曹司で、ひょんな事から俺の家に遊びに来るように成った。
「能兄の意地悪ぅ~」
「意地悪ぅ~」
苛っと来たので、デザートの果物を取り上げたら泣いて土下座された。
「次は無いからな」
「はぁい」
「はぁい」
二人に飯を食わせ、俺は先程の着信を確認する。
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