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「分かった、謝謝【シェシェ】」
有人らしい文章に、思わず笑みが溢れる。
「ロン毛といちゃこいてんの~?」
「気持悪ぅい」
双子らしい言葉に、思わず携帯を握り締めた。
「だから一々うっせーんだよ!!」
俺は盛大に怒鳴り、寝室へと駆けた。
「ったく。あいつら日に日に態度でかく成ってやがるぜ……」
ぶつぶつと鬱憤をはらし乍、着替の為にクローゼットを開いた。
「……」
其処にはフリルの沢山付けられた、元俺の私服が有った。
「ぐぉらぁ!!!!道【ダオ】に色【スウ】、良い加減にしやがれ!!」
慌てて台所に駆け込むも、既に二人の姿は無く、俺はその場にしゃがみ込んだ。
「逃げられた……」
壁に背を預け、前髪を掻き上げ乍、煙草をくわえる。
――ジッ、シュボッ――
心地好い音と共に、点火し着火する。
「ふぅー……」
道と色がいないだけで、この家はこんなに静かだったのだと、思い知らされた気分に成った。
「そういや、猫は煙草嫌ってたっけ」
頭をよぎるのは、猫がまだ、猫だった時の姿。いや、変わってしまったのは自分の方かも知れない。そう思うと、何だか急に胸が苦しく成った。
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