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あの日から一週間が経った。
あの日、あの後何かあったのかというと、特に何もなかった。
あのとんでも発言をしたあと、水野さんはすぐに帰ってしまった。
しかし、生き方を教えてやるとは、どういうことだろうか?
文字通り、生き方を教えてくれるということなのは間違いないのだろうが、その方法が検討つかない。
しかし、この五年間程、人生の道を脱線していた俺が今更戻れるのだろうか?
……ばかばかしい。
なんで俺は期待なんかしてるのだろう。今更どうにかなるはずない。失敗するに決まっている。
期待を裏切られた時のショックを俺は知っている筈だ。
だから、何も期待せず、関わらず……。
それでこんな人生になったんじゃないか……。
期待もせず関わらず、世間から離れ、最終的に自殺未遂までした。
こんなんじゃいけないって、思ってたじゃないか。
なのに、なんで期待しない!関わろうとしない!
変わりたいんだろう?
だったら水野さんにかけてみようじゃないか!
どうせ失敗したって堕ちるところなんかない。
あとは……上がるだけなんだ。
退院した俺は、次の日からさっそく学校へと向かった。
学校へ行くと、まず水野さんの席を見た。
水野さんの席はあいている。
どうやらまだ登校してないようだ。
……ああ、なんだかそわそわする。
なんだろう、この胸の高揚感。
久しぶりに心臓が必要以上に働いている。
早く水野さんが来て欲しいような、来てほしくないような……そんな気持ち。
それから10分程すると水野さんがきた。
水野さんは、女友達と挨拶を交わした後、俺の方へと向かってきた。
「おはよう!」
とびきりの笑顔で言ってきた。
クラスの視線が一気に俺に集まり、俺の顔は真っ赤に染まった。
それはそれは見事な朱色だった。
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