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俺には、家族がいる。 家族といっても、関わりなんて血縁的な意味でしかない。 放任主義と言えば、羨ましがるやつがいるかもしれないが、俺の場合の放任は真の意味での放任だった。 飯が出ない。 金がテーブルの上に乗っていることもない。 だから、俺は勝手に冷蔵庫の中に入っている少しの野菜でちょっとした炒めものを作って食べる。 ご飯なんか残っているはずもなく、朝昼晩と、米を炊かない限り、野菜炒めを延々と食べることになる。 家族の間に会話はない。 正確には、俺と家族の間には会話はない。 父と母、妹……それがこの家の家族の構成。 そう、近所に思われていたことを最近、不法侵入だと間違われて警察に捕まったときに知った。 近所の人が通報したらしい。 これでも昔、俺は人気者だった。 近所では愛玩動物のようにかわいがられ、父や母には、ちやほやされて育った。 それが今じゃ、いない存在だ。 俺は、いつ死んだのだろうか。 夢を失い、自分を失い……俺は、死んでいった。 半端に肉体を持ったグールのように、どこに行けばいいのか分からずに、さまよい続ける。 ゴールはないのだろうか? もしゴールがあるのだとしたら、それは、俺が死ぬ時……。 ゴールは遠い。 人生50年。まだ寿命が短い時に織田信長が言った。 今じゃ長寿の国と呼ばれている日本に住む、日本人である俺には、残り60年以上も生きなければならないだろう。 馬鹿な俺でも分かる。 それは地獄にいるくらいつらいものなのだろうと。 だから、俺は今日死ぬことにした。 17歳。 そんな中途半端な年齢で俺の人生は閉じる。 誰にも分からずに知られずに……。 ビルの屋上から、下を見る。 涙が出るくらいの絶景だった。 そして俺は、飛び降りるために柵に手をかけた。
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