789人が本棚に入れています
本棚に追加
「今から魔力放出してみるわ」
答えが出たのか、太郎はあっさりと言い放つ。
「はっ? 何?」
太郎の左手は昭仁の鳩尾へ。
太郎は再び俯き、大声で自身に渇を入れる。
「いくぞっ!」
「待て! 危なくないかそれ!?」
昭仁の言葉は耳に届かず、太郎は小さく右足で一歩踏み込んだ。
その瞬間、体中に激烈な衝撃の波が押し寄せ、昭仁は悲鳴に近い大声を上げる。
それはまるで、台風の日に吹き荒ぶ突風のようだった。
次いで、鳩尾から背中を貫く強烈な圧迫感。
圧迫感と言っても、確かに何かが体を突き抜ける、吐き気を伴った奇妙な感触がある。
「か、っは……。んぐ」
昭仁は意識が飛びそうになるのを確と堪え、歯を食いしばった。
「これが魔力だ! 体で覚えろ!」
太郎は昭仁の様子に目もくれず、魔力の放出を続けた。
「……ぐ、ぐ」
昭仁は目を強く瞑り、表情からは血の気が引いて行く。
最初のコメントを投稿しよう!