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「……よしっ。どうだ神原!?」
太郎は左手を離し、魔力の放出を停止させる。
「峰……」
ふらついた昭仁の体を、急いで太郎が支えた。
「おお? 大丈夫か!?」
「んぐ……。……何か掴めたかも」
「よし、じゃあそれを自分の体から探し出せ」
「めちゃくちゃ難しいな……」
昭仁の冷めた表情は一向に戻らず、目を開けるのさえ辛そうにする。
「何か……何か……」
「お、おい……。神原?」
「……解らない。畜生……」
昭仁は息を荒げ、力無く地団太を踏んだ。
「大丈夫だ! 俺だってすぐ使えるようになった訳じゃねえ」
様子を変に思った里緒と愛子が二人に駆け寄る。
「……昭仁!?」
「な、浪岡……」
「何をしたの!?」
里緒の表情と声には少なくはない怒気がこもっており、太郎は目を伏せる。
「大丈夫なの……?」
愛子は心配そうに、昭仁が弱っている様を眺めている。
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