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「平気みたいだね、安心したよ」 「あ……、えっと。リッキー先生」  そうだ。とばかりに男は笑顔で頷く。 名前はピッフェ・ロレンス・リッキー。  肩まである長い銀髪が特徴的な、張白高校の化学教諭である。  鼻は高く、全体的に日本人とは違った造りの顔。  会うときは常に白衣を着ており、背丈も高い事から、遠目にすぐ気付けるのだ。 「リッキー先生が顧問なんですか?」 「ああ、そうだ」  リッキーは笑顔のまま、昭仁の肩に触れた。 「少し、目を瞑ってごらん」 「え? あ、はい……」  年季を帯びたリッキーの低く優しい声に、昭仁はリラックスしたように目を閉じる。  次に、昭仁は自分の身を這うような、生暖かい湯のような感触に気付く。 「どのような感じかね?」 「……なんか、体中に変な感触が」  昭仁はむずがゆそうに体を小さく反応させる。
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