789人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうか……では、これは?」
リッキーがそう言うと、生暖かい感触はずるずると昭仁から身を引く。
そして次に現れたのは、内側から広がる心地良い感触だった。
「ん……。なんか落ち着きます。さっきとは広がり方が違う……?」
「うん、そうか。それが君の魔力だよ」
「え……?」
昭仁は目を開き、相変わらずの笑顔を浮かべるリッキーを見つめた。
「魔力と言うものを体に馴染ませ、ゆっくりと引き出した。一回で出来るとは思わなかったが、まあ才能って事にしよう」
状況が飲み込めていないのか、昭仁は自分の手足を確認する。
「えっと、でも、リッキー先生のとは随分魔力の印象が違いましたが」
「それは生まれつきだ。良い魔力を持ったな」
何時の間にか、昭仁の魔力は手応えを失っており、昭仁は内心がっかりする。
リッキーはそんな事には気付ずく筈も無く、昭仁の肩から手を引いた。
それに合わせ、昭仁の身を包んでいた魔力も、徐々に感じられなくなってしまった。
最初のコメントを投稿しよう!