789人が本棚に入れています
本棚に追加
「では、今日は帰りなさい。時間も時間だからね」
昭仁が周りを見渡すと、窓の外には暗い色が溢れ、時計は六時半を過ぎていた。
既に義明らの姿は無く、実験室にいるのは五人だけだ。
「うちの部は六時までだ。覚えておきなさい」
「……はい。わかりました」
昭仁は小さく頷いた。
「じゃあ。みんな帰ろう」
リッキーの言葉で五人は実験室を後にする。
昭仁だけはただ一度だけ、名残のあるように振り返った。
「大丈夫。練習したかったら自由に来てもらって構わないよ」
「あ、ありがとうございます」
昭仁がリッキーに頭を下げると、太郎が昭仁に声を掛ける
「これからもよろしくな、神原」
「……ん。一言いいか?」
笑顔を浮かべる太郎に、昭仁は冷ややかな視線を向ける。
「なんだ?」
「……全っ然違うじゃないか! お前のとリッキー先生の!」
「う、うるせーな! さっきはいいよ、って言ってたじゃねえか!」
……
二人は口論を続ける。その後、リッキーを除いた四人は、それぞれの帰路についた。
最初のコメントを投稿しよう!