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次に目を瞑り、先程の心地良い感触を思い出す。
「んー……」
徐々に、ゆっくりと感触が体を這い回る。
しかし、昭仁は今一何をすれば良いのか分からず、集中を切ってしまう。彼が藻掻くように挑戦を続けると、あっという間に時間が経過した。涼が本気で怒るほどである。
しかし昭仁は夕食の後、眠くなるまでずっと魔力の追求を重ねた結果。少しずつ手掛かりを掴み始めたのを実感していた。
そして遅めの就寝、起床、支度。そこだけはいつも通りに家を出ると、昭仁は通学路を進んだ。凉は少し遅れているようだ。
桜通りから学校へ向かう住宅街に曲がると、後ろから自転車のベルが鳴った。
「神原君っ」
声の主は愛子だった。昭仁は立ち止まり、愛子を待つ。
「おはよう、神原君。いつもこの時間?」
「ああ、おはよう。俺はいつもこのくらいだな」
愛子は自転車を降り、昭仁に合わせて手押しで歩く。彼女にしては、今日は遅いくらいだ。
「昨日は凄かったね。私びっくりしちゃった」
愛子は少し上空を見つめ、昨日のことを思い出しているようだ。
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