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周りには、昭仁らと同じ制服を着た生徒がごく僅かに登校しているのが見える。
「そうだな。俺は出来なかったけど……」
「そうだ! ちょっと見てて」
落ち込んだ様子の昭仁に、愛子は胸元から一枚のメモ用紙を取り出した。
「いくよ……。燃えろっ」
愛子が小さく囁くと、人差し指と親指で摘まれ、直立したメモ用紙の上辺に火が灯る。
「……!」
「どう!? 私は出来たよ!」
喜ぶ愛子に対し、昭仁は苦々しい表情を浮かべた。
「昨日、神原君が気持ち悪くなったのに気付くちょっと前。魔力の流れが分かったんだぁ」
「……早いな」
「うん、里緒ちゃんもびっくりしてたよ」
話しぶりから、里緒と愛子が仲良くなったことが窺えた。
「魔法はいつ使えるように?」
「昨日の夜! 忘れてたのを思い出してるみたいに、どんどん判るの!」
嬉々として語る愛子の言葉に、昭仁は心底悔しそうな表情を浮かべ、すぐに戻した。
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