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「……そいつは、羨ましいな」
「これが私の才能なのかなあ、なんて……。えへへ」
愛子の言葉に、昭仁は益々気を悪くする。
「俺はまあ、人並み程度の実力になるかもな」
「魔法覚えてどうするんだろう? 戦うの?」
「誰と?」
「違うかぁ……。うぅん」
愛子は俯いて考える仕草を見せた。
「……ああ、そうだ。松井、俺用事あったんだ。先行く」
「えっ!? 待ってよ!」
言うが早いか、昭仁は即座に走り出し、それを見た愛子は自転車に乗ってそれに追いすがったが、昭仁の足が勝っていたようだ。
これ以上愛子に見せ付けられてしまうと、自分の努力が馬鹿みたいに感じてしまうかもしれない。
それだけは嫌だ。と、昭仁は懸命に走り抜け、一直線に学校へと向かう。
校庭を駆け抜け、校舎へ。その凄まじさは、近くにいた体育教師が笑顔になる程だ。
「んおっ!? どうした神原?」
息を荒げ、教室に飛び込んだ昭仁を、太郎は目を見開いて出迎えた。
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