789人が本棚に入れています
本棚に追加
「あは、そう言って貰えると嬉しいです!」
佳祐と愛子は話に花を咲かせる。その様子を面白くなさそうに見つめていた昭仁は、太郎に肩を叩かれた。
「目つき悪いぞ」
「……ごめん」
「伊丹先輩! うちらは先に“自由平原”行ってますね!」
「ん? ああ、行ってらっしゃい」
昭仁は昨日と同じく、太郎に手を引かれて歩いた。
準備室の戸をくぐると、一瞬視界が暗転し、次には一面の草原が広がっていた。
「うおぉ……。み、峰。自由平原て?」
「ここの事。自由に練習出来るからな」
なるほど。と昭仁が頷くと、太郎は昭仁の肩に手を置いた。
「松井の事は気にすんな。あいつはただの天才だ」
「……きっついなぁ」
「ほら、リラックスしろ」
「座っていい?」
太郎は黙って頷く。
「……」
左足を引き、膝を衝く。
その後右足を畳み込んで正座になると、膝に手を置き、黙想の姿勢をとった。
最初のコメントを投稿しよう!