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 これは昭仁が中学時代、剣道をやっていた事から来たものであり、随分と手慣れた一連の動作だった。  昭仁は目を瞑り、背筋はピンと伸ばす。  昨日の感覚を追い求め、ただその一点に集中する。 「……」  太郎は黙って見守るのみで、一切口を挟まない。 「……っ」  昭仁の体がぴくりと動く。早速、昨日の感覚が蘇り始めたのだ。  昭仁はゆっくりと目を開き、感覚を逃がさないよう気を配りながら、右手を胸の高さまで持ち上げて見つめる。 「……今なら、出来るかも」 「え、本当か? じゃあ、火が一番簡単だ。魔力を、燃やすようなイメージを浮かべろ」 「……ん」  昭仁は落ち着いた様子で、且つ緊張を解かぬよう、真剣な表情を浮かべる。  右手からも魔力を感じ取る事は出来た。  じっくりと手の先を見つめ、掌の上にある虚空の魔力を消費し、点火するイメージ。 「……ん」  昭仁が声を漏らした途端、その空間から火花が散り、小さな炎が灯る。
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