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「おお! 出来た!」
「うん、……あっ」
太郎の声に昭仁が気を抜くと、煙のようにあっさりと火は消えてしまう。
「ああ……」
「今ので充分だろ! 神原やったな!」
首に腕を回して喜びを示す太郎だが、昭仁は心底疲れきった顔をしていた。
「これはなかなか……」
「いや、良く頑張ったよ。結局、お前も一日足らずで火ぃ点けたんだぜ?」
太郎の言葉に、昭仁は嬉しそうに驚いた。
「ああ、そっか……!」
「そうだろ? じゃあ、一旦部室に戻ろう」
「そうだな。……あれ?」
昭仁は首を傾げた。
「どっから帰んの?」
辺りを見渡してみるものの、あるのは広大な草原。扉など見当たらない。
「あーそっか。昨日は気を失ってたんだもんな。出口はあそこだよ」
そう言って太郎は、遠方に見える森を指差した。
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