始まりは突然で、必然で

2/11
前へ
/11ページ
次へ
  [第一話:始]     ーーー…桜が散って、夏の暖かさが伝わり始めた頃。 私は自分の部屋から窓を見上げて外を眺めていた。 何の変哲も無い青空に、自由に空を飛び交う鳥たち。 その白い羽を見て、思わず私は溜息を零した。     「羨ましい…私も出れるものならこんなとこ抜け出すって」     自分の立場上、この部屋から一歩も出ることは出来ない。 部屋自体は広く、何不自由することは無いが…やはり毎日インドア生活というのはつまらない。   私は開けていた窓を締めると、本日何度目かの溜息を再び零した。     「あー…つまんね…外行きたい…」   「またその話?」   「Σうぉわっ??!焦ったー…驚かせないでよバカ紅ッッ!!」     突然背後からの声に振り向くと、見知った赤い髪に赤い瞳。 …自分の従姉妹だと気付いた彼女…モコは、紅に突っ掛かる。     「バカは余計よ阿呆モコ」   「残念、私は阿呆ではなくアフォでしたーww」   「そんなのどっちも変わらないじゃないの;」   「変わるよ!ほら、発音とか可愛さとかww」   「…あんた、本当にここのーーー…ホワイトキャッスルの、王位継承者?」     呆れた顔でモコを見る紅に、モコは困ったように笑う。 彼女がこの部屋から出られない理由こそ、この国の王位継承者…即ち、姫だからということだ。     「本当。だから現にここから一歩も出れないんでしょうが」   「はぁ…この国の未来が不安ね」   「まっ、私に任せたら大丈夫よw」   「………(大丈夫に見えないから心配してるのよ…ッ!)」     自信あり気ににこりと笑うモコに紅は苦笑いして彼女の隣に座った。     「まぁ、そんなアンタだからこその魅力があるんだし…いっか」   「何よいきなり、らしくないねぇ」   「……実は…アンt「失礼致します!モコ姫はいらっしゃいますでしょうかッ??!!」     紅が深刻そうな顔で口を開いたのもつかの間。 近衛兵の張り上げた声に紅の声は掻き消えてしまった。     「紅ごめん、後で聞くよ;」   「……ええ…」   「入って!」   「はっ!失礼します!」    
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加