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レイの私室‥マリがレイと向かい合っていた
マリ「ねぇ、本当に‥何も覚えていないの?」
レイ「‥何も‥気がついたら、今の私が居ただけ‥だから‥」
マリ「あっちゃぁ~‥まいったなぁ‥彼に嘘をついちゃった事になるじゃん、アタシ‥トホホだわン‥
これ、多分、アナタの‥とりあえず、渡しておくから‥頑張って、何か思い出してよね!お願い!」
マリがレイにウォークマンを手渡し、頭を掻き掻き、何やらブツブツと呟きながら立ち去る‥
レイは手の中のウォークマンを不思議そうに見ていた‥
ヘッドフォンを耳に‥スイッチを入れる‥しかし、音は出ない‥首を傾げながら、ヘッドフォンを外す‥
しばらく、考えていた様子だったが、部屋の片隅のゴミ箱にウォークマンを放り込む‥
数歩、歩き始めて‥その足が止まった‥
手が顔に‥見開かれた片方の目から一筋の涙が流れていた‥
レイ「何?‥これは?」
指先で頬に流れる涙に触れ、軽く驚きの表情に変わる‥
レイ「涙?泣いているの?私?‥何故?」
次の瞬間、レイの両目から次々と涙が溢れ出てきた‥手が口を覆う‥嗚咽が漏れていた‥
レイ(‥悲しい‥悲しい‥寂しい‥苦しい‥悲しい‥悲しい‥痛い‥心が痛い‥悲しい‥寂しい‥何故?‥何故、悲しいの?‥分からない‥)
ガクッと、跪き、その体勢のまま、訳も分からずゴミ箱に向かう‥
ウォークマンを取り出して眺める‥
それを胸に抱きしめて‥今度は声を上げて泣き始めた‥
部屋の外、ドアに背をもたれかけたマリ
レイの泣き声が聞こえている‥ガックリと頭が下がり、軽くため息をつくマリ‥その顔が上がって、キッとした顔つきに変わる‥
マリ「あんにゃろめぇ~!人にイヤな役目を押し付けて、自分だけ!美味しい所を丸かじりってぇかぁ!?
ふざけないでよね!」
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