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さて、ここで僕が絶叫するに至るまでの経緯を説明しておこうか。
まず現在地、これは近所の川原だ。
僕は、ある目的があってこの川原にやってきた。
川原と言っても、休日に人が集まるような人気のあるスポットではなく、一人で休んだり、考え事をしたりする時にはもってこいの場所だ。
橋の下に入れば、暑さもしのげる。
そんな川原に、いつものようにやってきたわけだが、今日は状況が違った。
珍しく先客がいたのだ。
僕がいつも陣取っている場所に、男の人がいた。
無精髭をはやした、背の高い男。
体格はがっしりとしていて、なんというか……非常に暑苦しい。
いかにもおっさん、おっさんの中のおっさんって感じだ。
夏には近寄りたくないタイプ。
先客がいて、若干落ち込みはしたものの、時間が経てば帰ってくれるだろうと一時別の場所を陣取る事に決めた僕。
早く帰ってくれないものかとおっさんを見やると、不運にも目線があってしまった。
そして、僕に気が付いた先客である暑苦しいおっさんは、何故かずいずいと僕の方に向かって近付いてきたのだ。
夏には近寄りたくないタイプのおっさんが、近寄ってくる。
なんかそこはかとなく関わってはいけないような気がして、僕は足をはやめてその場から、というかおっさんから遠ざかろうとしたのだが――おっさん、全速力で走ってきました。
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