その1

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怖いよ、いい齢したおっさんに後ろから全速力で追いかけられるって、想像を絶する怖さだよ。 そもそもだ、僕はただいつもの場所におっさんがいたから、別の場所に移動しようとしただけであって、追いかけられるような事はしていない。 追いかけられる理由も無ければ、この暑い日に全速力で追いかけてくるおっさんから、全速力で逃げる理由も無い筈だ――というか、暑くて走る気にならなかっただけだ。 おっさんの気力に負けたというか、暑さに負けたというか……とにかく諦めて足を止めた俺に、おっさんは追いついた。 そして、荒い息を整えながら発した第一声が――。 「俺幽霊なんだけど!!」 だった。 それから、俺の事を見える奴に会ったのは初めてだとか、おっさんは一方的に自分の事を語り始めた。 だけど、物凄く胡散臭い自称幽霊のおっさんの言う事なんか信じられるわけもなく、思いっきり冷たい態度をとっていた結果――数分後、僕は絶叫するはめになったというわけだ。 はい、経緯説明終わり。    
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