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「でも実際手がすり抜けてるだろ」
「なんという敗北感!」
腹に手を入れられている状態が、気味悪くて、気持ち悪くて、僕は全力でおっさんの手を振り払った。
すると、おっさんは意外にも簡単に僕の手を放してくれた――というか透けた、おっさんの手を僕の手がすり抜けた。
貫通だ、貫通、すり抜けた感触は無いけど。
さぶイボが全身を支配する。
落ちつけ、落ちつけよ僕……!
僕は一体何をされたんだ、幻覚でも見ているのか。
なんでおっさんに触れられない、目の前にちゃんと存在しているのに……意味がわからない。
服に触れた感触すらなかったぞ……なんのトリックだ、そもそもトリックなんてあるのか。
やばいぞ、考えれば考えるほどわけがわからなくなる。
少なくとも、人間業じゃない……。
「頭抱えてどうした、そんなに悩む事はないだろう、俺が幽霊だってだけの話だ」
「それが頭抱えてる原因だ!」
幽霊……?
まさか、幽霊なんて本当にいるわけがないだろ。
幽霊なんて、科学で説明できない現象の責任転嫁に過ぎないというのが僕の持論だ。
信じるわけにはいかない。
このおっさんが幽霊だなんて結論は認めないぞ……!
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