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男は怒りの目を向けて私にマシンガンを突き付ける。
もう駄目だ…
そんな考えが頭を過った。
しかしそれと同時に出入口の辺りで何か物音がした。
思わず出入口にマシンガンを向ける男を私は見逃さなかった。
銃口がずれた事で私は男の足を引っ掛けて倒した。男は少し呻き、私はマシンガンを足で踏みながら馬乗りになる。男が必死に抵抗するのを体重をかけて押さえ、手を伸ばしてベンチの横にある拳大くらいの石を取り男の頭に打ち付けた。
とにかく必死に、大声で男が動かなくなるまで何度も…
しばらくすると男はまるで電池が切れた様に動かなくなり、辺りは真っ赤な血が広がっていた。
「ハハ、やったぞ。」
私は全身の力が抜けてへたりこんだ。振り返ると、出入口にはさっきのねずみがいた。少し安堵の笑みがこぼれる。
ただ五分間、電車が来るのを待つだけだったのに、まさか人を殺すとは思わなかった。しかし、これは正当防衛だ。殺さなきゃ殺されてた…
私は冷静さを取り戻す為に必死で言い聞かせた。
そして時計に目をやる、もう一分も無い。来るならもうすぐのはずだ。
しかし、出入口の向こうからまた足音が聞こえた。しかも今度は一人じゃない、五人はいる。
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