9人が本棚に入れています
本棚に追加
どうすればいいんだ…
パニックになりながらも私は咄嗟に男のマシンガンを奪い、出入口向けて構えた。
張りつめた精神状態が続く中、聞き覚えのある音が遠く聞こえた。
電車だ!
ついに解放されるんだ…そんな喜びのあまり涙が流れる。
たった五分、しかしとんでもない体験をした五分だった。
戦争はもう嫌だ、もう絶対嫌だ。こんな悪夢はもう二度と起こらないでくれ…
電車の到着を早く願う中、私は自然とそう思っていた。
しかし神はまたしても私に試練を与えた。
目の前には、先程の男と同じような格好をした男達が立っていた。
殺されてたまるか…
次の瞬間には私はもうマシンガンを乱射していた。
一番前にいた男は倒れ、後ろにいる仲間はこちらに向けて発砲を始めた。
左足を引きづりながら移動をして、物陰に身を隠しながらこちらも発砲する。
最後の最後に戦闘が本格化した。電車はそこまで来ているというのに!
そこに、何事も無いように電車が到着した。
さっきまでの電車と変わらない一両だけで、乗客はいない。
あれにどうしても乗らないと!
銃弾が飛び交う中、私は駆け出した。ものすごい大声を上げて。
腕に弾が当たる感触があった。バランスを崩したが、痛みはもう感じなかった。
開いた扉に私は飛び込み、床に寝そべった。そして、静かに扉が閉まった。
まだ奴等は車両に弾を撃ち込んでいるが、全く無意味と言わんばかりにゆっくりと進み始めた。
やった、これでやっと帰れる…やっと会える…
かつてない大きな安心感に包まれながら、ゆっくりと目を閉じた。
最初のコメントを投稿しよう!