五分間戦争

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――私は意識を取り戻した。 あれは、夢だったのか… 少し固いベッドに寝そべってたまま、夢を見たようだ。 しかし、風景はいつまで経っても眼前に現れない。目が覚めたからといって、目が見えるかどうかは全くの別問題だ。 それでも私は驚かない。わかっているからである。目が見えない事は。 それどころか耳も聞こえない。左手に指は無く、右手はどこかへ消えてしまった。戦地に忘れてきたらしい。右足も無く、左足は動かない… 目が覚めた今、考えは変わった。あの夢は悪夢などでは無かったのだ。この目で風景を見、耳で音を聞く。両手で闘い、全力で走る。左足を痛がる事も出来た。 今の私には何一つ出来ない、何一つ… 夢での唯一の心残りは彼女に会えなかった事だ。そりゃいくらなんでも都合が良すぎるが。 そして一番の喜びは、戦闘が五分だけだったという事だ。 ここでは何年も戦闘が続き、この病院には多くの怪我人が運ばれてくる… 今、少しベッドが揺れた。爆撃場所は、そう遠くない…
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