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大きい屋敷の、豪華な赤い絨毯を、震える細い足が踏みしめます。
その持ち主は、おどおどと周りを気にかけながら、美しいドレスを引きずる少女。
それを見かねた召使いは、貴女は主、もっと胸を張って下さい、と言いました。
すると少女は言いました。
嫌われるのは怖いもの、と。
召使いは、小さく溜め息をついて、主の背中を見送るのでした。
その背中が抱えるのは、自分達の運命。
そんな重たいものは、少女の背中を、より小さく見せたのでした。
そんな溜め息をついた召使いに、屋敷のコックが言いました。
主に溜め息なんかつくものじゃない、と。
すると召使いは、私は貴方みたいに媚ることは、出来ないわ、と首を横に振り、主の後を追いました。
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