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「あたしの何処が綺麗なの?」
もう見た目だけで胸キュンですよ!と言いたいくらい綺麗でスレンダーなのだ。色白だし。この時僕は先生に夢中だった。たくさんの質問をした。しかし高校時代から今までの事については一切無視。きっと何かあったんだと僕は思った。
「先生って学生時代のこと話さないですよね??何でですか?」
「言う必要がないから。」あっさり切られてしまった。
それから一週間、僕は先生の事しか考えてなかった。仕事も捗らず、先生の小説を読み返してはうなだれていた。そんなある日、
「惚れ込んでるねぇ伊藤ちゃん。」
渋谷先生が突然顔を近づけて、にやりと笑いながら言ってきた。
「ほ、惚れ込んでないですよ!ただ気になるだけです…。女の人と暮らすなんて始めてのことだし…。」
「お前初恋はいつ??」
「え?たしか中2くらいだったと…、それが何か??」
「初恋の時と似てねーか?今の自分の気持ち。」
そういえば…。僕は黙り込んでしまった。似てる!あのときめき、眩しさ…。でも何故か爽やか風が吹き抜ける。大人になったせいかな??とにかく僕は先生に好意持ってしまったらしい。先生だって僕と2年年上なだけでたいして変わりないのだ。いける!!僕は何かを信じた。メールで告白しよう。言葉では自信がなかった。この行動を横から探り、ニヤつきながら渋谷先輩は見ていた。
どういうふうに打とう??あのクールな性格、じんとした態度、時には暴力…。よし!こうなったら当たって砕けろだ!!―先生、突然のことで申し訳ありません。僕は先生のことを好きになってしまいました。もうこの気持ちを止めることは出来ません。どうかお付き合い願います。返事待ってます。―
打ち終わり送信しおわったあと渋谷先輩がいきなり笑い出した。
「だははは、なんだその文章は。それでも編集員かよ。」
「そんなに笑わないでくださいよ!これでも精一杯打ったんですから…。」
「さあ、佐々木先生がどう動くか楽しみだな。」―ピピ―
「あ!来た!」
―今日は井上先生の家で泊まります。留守番よろしく―
えー!?それって僕を避けてるって事!?渋谷先輩は大笑いでこう言ってきた。
「あーあ。お前ら何の進歩もねーなー。…いや…そうでもないか…?」
意味ありげな言い方…。
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