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あんなに必死に好きだということを言ったのに何の反応もないのだ。…もう絶望的だと思ったその時だった。先生がゆっくりと口を開いた。 「あんた、今から言う事…約束出来る?」 「え!何ですか…」 その時先生は僕の背中に引っ付いてきた。凄くドキドキする…。 「私はあんたを好きになろうとするからあんたは私の前からいなくならないで…。」 「そ、そんな無理矢理好きにならなくてもいいですよ……。」 「…この香水…好き…。」 「せ、先生…。」 僕は先生が後ろから離れるまで前を向いていた。こんなときどうすればいいんだろう…。でも先生って以外と大胆だなぁ…。と、思っているうちに先生が僕から放れて海をみていた。 「あの…何で海なんですか??」 先生は間をおいて口を開いた。 「…ここで始まってここで終わった。」 これは先生の小説の最初の部分だった。 じゃあ先生が学校の先生と付き合っていた思い出の場所ってこと?? 「ぼ、僕はその人に勝てますか??」 「あんたの頑張り次第。」 「その人に負けないくらいの男になってみせます!!」 僕は誓った。先生がどんな思いでその人を愛したかは解らないが、僕は僕なりの愛し方がある。僕にもその人を超せると見込んで先生は僕と付き合ってくれると言っているんだと思った。 とその時強い風が吹いた。そして薄ピンク色の桜の花びらが舞った。 「これでカズちゃんも少しは安心してくれるといいんだけど…。」 「…いいのか、あの事言わなくて。」 「あの事って??」 「相手があの人気作家だった石山俊幸(いしやまとしゆき)ってこと…。教師しながらあれだけの作品だしたんだ伊藤が知らないわけねーだろ??」 「今話したら逃げるでしょ…。それにその名前は禁句、大丈夫、あの子ならやってくれるわよ…。」 そんな二人の話しも知らないまま僕と先生は海を眺めていた。
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