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7月、先生と付き合い始めて3ヶ月が過ぎた頃だった。相変わらずキスも手さえ握っていない状態のまま3ヶ月が過ぎた。一つ屋根の下…暮らしてきて一度も手を握っていないなんて…。にしても東京の夏は暑い。毎日30度を超す暑さが2階いる僕の部屋の窓から注がれる。エアコンがついてるから良いもののなかったらパソコンはパーになっていた。
今日は久しぶりに編集部に顔出しする日だ。
「先生、それじゃあ行ってきます。遅くなりそうな時は電話しますね。って先生??」
「…悪い…暑さで…。わかった…さっさと行け…。」
先生はバテていた。そういえば2年前に上京したばかりとはきいたけど…。でもその間付き人代わったりして大丈夫だったんだろうか??先生夏苦手??栄養のあるもの食べさせないど夏バテしちゃうなぁ…。
とそんな先生のこと頭いっぱいにしながら会社へ向かった。
編集部に着くと渋谷先輩が待っていた。
「伊藤ちゃんお久~。」「お久しぶりです先輩。」
「佐々木先生とはうまくいってる??」
「はい、今のところは…。」
「ところで斎藤先生の出版した心の友が馬鹿売れしてパーティー開くって話しの事なんだけど。佐々木先生もどうかなって??」
「あー…絶対行かないって言うと思いますよ??」
「葉子は行くぞ。」
「う~ん井上先生が行くなら行くって言うかも…。でも今夏バテ中だし…。」
「まぁ誘ってみてよ。」「はぁ。」
僕はうなづき先生の小説のチェックに入った。先生はちゃんと〆切り守るほうなので特に問題はない。今書いてる「春夏秋冬」だって続編で売れ行きも好調だ。
そういえばこれも先生と生徒の恋愛小説だったなぁ。ホントにあった話しだったりして…。
僕はそう思うとなんだかドキドキしてきた。それと同時に胸の奥がズキズキした。
でも先輩が言ってたとおりの終わりかたじゃない。続編だからだろうか??
読み進んでいくうちに僕は先生の物語にハマっていった。
気付くと時間はすぎ先生の晩酌に付き合わなければならない時間になっていた。
家に帰ると玄関にはビール缶が…
「た、ただいま…。」
リビングには酔い潰れて寝ていた。
「せ、先生起きてください…。」
「…ん……あ……帰ってきたの……。」
「は、はい。今帰って来ました。」
「……そう……。」
先生は頭をかきながらソファから起きた。
部屋はビール缶で散乱し、先生の口からはウィスキーの臭いがした。
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