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「ふっざけんなよ💢テメェ💢」
Night Lifeの開店から二時間ほど経った頃、店内に女の怒声が響き渡った。
今夜は出勤人数が少なかったため、リクはいくつもの卓をせわしなく回っていた。
その為、新人一人を長時間ヘルプに付けさせざるを得なかった。
それがまずかった。
リクの太客のヘルス嬢が、その新人ホストにしつこく下ネタを言われたと激怒したのだ。
リクが慌てて卓に戻ると顔面蒼白の新人ホストが、平謝りしていた。
所々色落ちしたミディアムの金髪。
ボケ役のお笑い芸人のような愛嬌がある顔だが、その額に、びっしょり冷や汗をかいているのが分かる。
「す、す、すわぁ~せん💦俺、軽い気持ちで…💦」
新人の名前はマサヤ。
入りたての新人は、緊張して喋らないか、張り切って空回りすることが多い。
勿論、客によっては下ネタもオラオラも必要だろう。
マサヤは経験の少なさから、ギアを入れ間違えただけだ。
だが、彼女は仕事が仕事なだけに、下ネタが大半の日常から美しい幻想に逃避しに来ているのだ。
キレ具合が半端じゃない。
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