思い付きの棚

付く月

　　　　　―30分前―

「ねぇ月って不思議ね。」

助手席に座った容姿端麗な女が、小さな笑みを浮かべ、満月を見なながら聡（ｻﾄｼ）という男に言う。

「なぁに子供みたいな事言ってんだぁ。それより三咲（ﾐｻｷ）、今日は何の日だ？」

「付き合って２年目の記念日！！」

三咲と呼ばれた女が嬉しそうに答える。

「正解。」

会話を終えると三咲は再び満月に目を向けた。