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「ただいま戻りました」
突然…というにはゆっくりと静かにだが、一人の騎士が謁見の間に入ってきた。
「……ブライトか」
王の口が微かに動く。
「はい」
ベルセルが《ブライト》と呼んだ軽鎧を着込んだこの群青色の髪の青年…
彼は、帝国騎士団第二師団・師団長。
他の師団長と並び称され、帝国三聖と呼ばれている者達の内の一人。
その静かな威圧感にアマリアはもちろん、マルクすらも道を開けてしまう。
ブライトはその二人に頭を下げ、三歩前に進んで膝を付いた。
「帝国領西部の監査より戻りました。
例の異端者の噂も流れて来てはいますが、それもあくまで噂の段階です。
反乱の可能性はないかと」
「……そうか。ご苦労。
して、次の任だが…………」
「ベルセル様。恐れながら、与えて頂きたい仕事が……」
「構わん。申せ」
「先に話していた北方の制圧……この私に委任してはくださいませんか?」
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