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俺が考え事をしてる間に、文月がすっと扉を開ける。
「雫様。お客様が参っておられます」
「通してくれ」
文月は分かりましたと言って、客を通した後、引っ込んでいった。
客はやはり、黄玉様だった。
黄玉様は俺がお仕えしているお方で、同僚の一部はあの方の人柄は尊敬できるが、あの色素の薄い髪と目の色は気持ち悪いと言っていた。
俺は黄玉様を改めて見て、成程とも思ったが、それは違うとも思った。
髪も目も少し薄めな茶色で、確かに異人の趣だが、この人は確かにこの国を統べる天照大神の子孫、御上の息子である。
そして、その人柄は疑う事を知らない優しく純粋なお方だ。
決して嫌いにはなれないお方である。
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