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翌日。日曜日で仕事が休みだった俺は昨日のスタジオへと事務所の車を借りて向かっていた。
人気アイドルなら日曜日の今日だって忙しいのだろうがまだ春香は世間には知られていない。
俺は今日一日暇だった訳だ。
「…ここだよな…まだ開いてないみたいだけど…?」
車を停めて俺は見回す。
スタジオ前ではまだ朝が早いというのに人がちらほらと見えた。
…あ、あれは千早ちゃん!?
ふと昨日会ったストレートヘアの千早ちゃんをスタジオへの行列の中で見つけた。
俺が軽く近づきながら手を振ると千早ちゃんも気づいたようだった。
「おはようございます」
綺麗な声で一礼する千早ちゃん。
「あ、おはよう。早いんだね?」
千早ちゃんは頷いた。
「ええ。私みたいな学生は部屋を借りるのも一苦労ですから」
…確かにアイドル候補生の春香でも先に予約しなきゃいけなかったしな。しかも社長から。
「あはは、そうなんだ…あ、開いたみたいだよ?」
俺が言うと千早ちゃんも頷いた。
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