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行列に従い中に入るとレッスン部屋の受け付けが始まっていた。
千早ちゃんは慣れているのかテクテクと先に進む。
俺も慌ててついていく。
「いらっしゃいませ、ご予約はされていますでしょうか?」
カウンターの女の人がにこやかなスマイルで迎えている。
しかし千早ちゃんは無愛想に首を横に振った。
「すみませんが予約はしてません。高校生ですけど部屋のスタジオを借りたいんですが」
「高校生…ですか?あの、所属プロダクションは?」
千早ちゃんは苦い顔をしていた。
「…くっ…」
受付の女の人はそれを見て頭を下げる。
「申し訳ありませんが大変込み合っておりまして只今プロダクションのアイドル候補生の方のみ部屋をお貸ししておりまして…一般の方々には…」
「そうですか…」
千早ちゃんはふぅ…と溜め息をついた。
…。
「あの、すみません。俺、765プロの者で、この如月千早のプロデューサーなんですけど」
千早ちゃんがえっ…!って顔をしていたのが横で見えた。
「…ああ、そうだったんですか。765プロの方なら大丈夫ですよ…はい、ではボイストレーニングの205号室をどうぞ」
「有難うございます」
俺は部屋の鍵を受け取り、千早ちゃんを連れて受付から離れた。
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