初オーディション。

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「あのさ、千早ちゃん?」 俺は彼女の肩に手をおく。 千早ちゃんは?を浮かべながら俺を見た。 「…765プロで…歌を歌う気は無いかな?」 「え…」 「嫌なら別にいい。でも…俺は君を一人で離したくないんだ」 「…私が…アイドルに…?」 千早ちゃんは俯く。 「…少し…考えさせてくれませんか?」 「うん。これ、俺の携帯番号だから。また良かったら電話してよ」 小さな紙を渡すと千早ちゃんは頷いた。 「…有難うございます」 そう言って千早ちゃんは微笑んだ。 それは心から微笑む、年相応の彼女の笑みだった。 「で、その如月君とやらから連絡はあったのかね?」 「いえ…まだです」 あれから数日経ったが、千早ちゃんは電話してこなかった。 「…私も、会ってみたいです、その千早ちゃんって子に」 春香も話を聞きながら微笑む。 「まぁ、その内会えるんじゃないかな?」 「うむ。だから今は明日のオーディションに控えるんだ、天海君」 そう、そして明日は春香にとっても俺にとっても、初のオーディション。 春香ははい♪と微笑んだ。 「それでは失礼しますね!お疲れ様でした!」 春香が外に出たのを見て社長は俺の方を見た。 「…君。如月君の事もあるが先程も言った通り今は春香君のオーディションに集中してくれたまえ」 社長に対して俺は自信をもって頷いた。
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