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…えーっと。見失っちまったか…?
あ、居た!
その少女は今まさに建物に入ろうとしており、俺は無我夢中でその子に向かって走る。
「おーい!」
「…あ、さっきの…?」
少女は顔に?マークを浮かべながら俺に尋ねてきた。
「…こ、これ…ハァハァ…」
「あ、財布!?」
俺が財布を差し出すと彼女はびっくり!っと言わんばかりの顔だった。
「あの…もしかしてわざわざ届けて…?」
「あ、うん…財布無くしたら困ると思ったしな?」
少女は顔を赤くして改めて一礼した。
俺は達成感に浸りながら少女に尋ねる。
「ところでこの辺に「765プロダクション」って言うのがあるはずなんだけど…知ってるかな?」
「え…765プロならここですよ?」
少女に言われてふと見てみると確かにビルの三階に「765」と書かれていた。
「何だここか…」
「あの…もしかして記者の方ですか?」
少女はかしこまって尋ねる。
「記者?…まあそうなるのかな?俺には解らないが高木社長に呼ばれて来たんだ」
少女はへぇ…と軽い声をあげた。
「ともかく上がりましょうか?」
「そうだね」
俺は少女に連れられて765プロと書かれた階に足を踏み入れるのだった。
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