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「さ、春香。着いたぞ」
「はい…いよいよですね…」
俺達は中に入る。中には人こそ多いが騒がしくはなく寧ろ適度な緊迫感が支配していた。
「プロデューサー…」
「ん?どうした?」
「…あの子やあの子もライバル…なんですよね…」
「ああ。そうだな」
春香は事務所とはうって代わってテンションが低いようだ。
「…春香」
「…は、はい?」
「春香なら大丈夫だ。落ち着いて、いつも通りで良いから…な…まずは深呼吸して…」
春香は小さく頷き息を吸う。
希望を吸い込み、不安を吐き出す深呼吸を。
「はい…大丈夫です!」
春香は笑顔で頷いた。
「お待たせ致しました!参加者の皆様、プロデューサー様は受付を済まし、控え室に移動してください!」
…ついに来たか。
春香と俺は無言で頷き合い奥へと進んだ。
「では天海春香さんは83番での登録となります」
…83番…。一体何人がこのオーディションに参加しているのだろうか。
そんなことを考えながら控え室へと移動する。
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