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「…では次は61番から70番の方、どうぞ」
オーディションが始まり、控え室の女の子達は少しずつ減っていく。
春香も気になるようでソワソワとしていた。
「やっぱり緊張するか、春香?」
「はい…ははは…情けないですよね…」
「そんなことはないさ。誰だって緊張はするしね」
俺が微笑むと春香も微笑んでくれた。
「そうですね…ふぅ…」
そんな時、スタッフの方が入ってきた。
「次、71番から80番までどうぞ!」
…とうとう次だぞ、春香。俺は見守ることしか出来ないけど…。
俺達も順番はまだだが奥に進み、軽く眺める。
すると前の女の子がダンスで転んでいた。
「プロデューサーさん…あれって…」
「ああ…」
春香の顔が青ざめていくのが横で解った。
先程までは軽そうだった団須さんや美十さんも険しい顔で彼女を見つめている。
「…プロデューサー…もしこれに落ちたら私は…どうなるんですか?」
春香の顔色が悪い。流石に今のは厳しかったのかもしれない。
何とかして落ち着かせねば。
「…春香、良いか?」
「え…」
俺は頭を撫でてやる。
「いつも通り踊れば良い。いつも通り歌えば良い。そしたら落ちたりなんかしないから…な?」
「プロデューサーさん…」
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