恋の予感

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「ここかあ……」 ボソッと呟きながら、古いけれど小綺麗な建物を見上げた。 レトロな洋館風のその建物が、これから3年間、あたしのお城になるのだ。 「きんもく荘……」 入口の壁にはめ込まれた看板の文字を読む。 『きんもく荘』 この建物の名前なのだろう。 その外観をまるっきり無視した和風なネーミングセンスに、思わず苦笑する。 でも、気に入った。 名前と見た目のミスマッチも、おもしろいからよしとしよう。 「よし」 一人、気合いを入れて、あたしは一歩踏み出した。
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