第1部 「明星 譲」

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ある雨の日――― 濡れた車道を危なげに走り、 山道をゆく自動車。 車内には4つの人影。 後部座席には、久しい旅の思い出話をする兄妹。 助手席には我が子を微笑ましく見つめる母。 そして、運転席には 団欒を名残惜しみながらも、黙々と帰路を走らせる父。 勿論のこと、その空間には 「安らぎ」があった。 だが、それ以上に… その車という空間に対する外側の世界には、紛れもなく… . ・・ 「悪意」があった。 .         ・・・・ そして、無慈悲にも選ばれた車の一家はその迫る脅威に気付くことなく… 次の瞬間には、 ・・・ 崖下へとその身を放り出され、 甲高い破砕音とともに命の華を散らした… ただ1人、「明星 譲」たる 少年を残して…
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