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跳ね起きる―――
身体中にまとわりつく汗。
ひどく乱れた呼吸。
異常なほどの倦怠感。
どれも気分を損なうには十分に働きかけてくる。
だが―――
・・・・・・・
夢には敵わない。
よりによって、心の奥底にドンヨリと溜まり、それでいてねったり絡みついて離れない―――
忌まわしい―――
過去。
譲は自らの身を抱え、
その身に疾る悼みに堪えた。
噴き上げる激情を押し込むことに成功すると、
ゆっくり枕元の携帯(目覚まし時計を兼ねる)を見やる。
「4時半…」
早すぎる…
最低最悪の夢を見てしまったのだから無理もないとは思うが…
イヤでもため息がでた。
普段の“うっかり”なら、
脳内会議の満場一致で二度寝に直行なのだが、
今回ばかりはそうもいかない。
譲は渋々ベッドをあとにし、
朝刊を取りに一階の玄関へ向かった。
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