第1部 「明星 譲」

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跳ね起きる――― 身体中にまとわりつく汗。 ひどく乱れた呼吸。 異常なほどの倦怠感。 どれも気分を損なうには十分に働きかけてくる。 だが――― ・・・・・・・ 夢には敵わない。 よりによって、心の奥底にドンヨリと溜まり、それでいてねったり絡みついて離れない――― 忌まわしい――― 過去。 譲は自らの身を抱え、 その身に疾る悼みに堪えた。 噴き上げる激情を押し込むことに成功すると、 ゆっくり枕元の携帯(目覚まし時計を兼ねる)を見やる。 「4時半…」 早すぎる… 最低最悪の夢を見てしまったのだから無理もないとは思うが… イヤでもため息がでた。 普段の“うっかり”なら、 脳内会議の満場一致で二度寝に直行なのだが、 今回ばかりはそうもいかない。 譲は渋々ベッドをあとにし、 朝刊を取りに一階の玄関へ向かった。
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