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「《絶対服従》
(アブソルート・オウビィーデンス)」
現れたのは、長身の男。
目元を隠す程度の仮面をつけ、顔から下を異常に丈の長いマントで覆い隠している。
降り下ろされた不良の拳をいとも容易く受け止める。
「なッ?! なんでだ!?」
突然動かせなくなった自分の右腕をみて、
不良が驚きの声をあげた。
どうやら不良には奇妙なマントの男が
・・・・・・
見えていないらしい。
そんな不良の疑念など知ったことかと譲が囁く。
. ・・・
「こんな些事、さっさと忘れて高校に行ってください。
急いで。」
不良は先刻の様子とうって変わって、
ただ、きょとんとしていた。
マントの男が不良の拳を放し、霧のように消える。
それと同時に、
不良が目を覚ましたかのように「ハッ!」となって、
「そうだ、急がねぇと…
・・・・・・・・・
急いで高校行かねぇと…」
不良は突如、
譲には以後一切目もくれず、
夢遊病患者よろしくな雰囲気で高校があるであろう方角へ走って行った。
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