徐々に奇妙な冒険

第１部 「明星 譲」

譲はというと、俄然ヤル気があるというワケでもなく、

かといって完全否定するほど、文化祭での出し物をしたくないワケではなかった。

(悩むねぇ～… 別にどちらでも構わないと言ってしまえばそれまでなんだけど…)

(《絶対服従》を使えば簡単に済むんだけどねぇ…)

譲はふと考えたが、

勿論、本気ではない。

(命令されて従うだけでは生徒のタメにならない…)

「そこまで」

ガヤガヤと喧騒と化した教室が静まりかえる。

そして金白の続く言葉は…

「あと83秒でＨＲが終わる。

次の機会にまでは各自、
出し物を決めておくように。」

金白の号令で朝のＨＲが幕を閉じる。

まさに、それに相反するかのように

我が身だけでなく、自身の人生にまで降り注ぐ

. ・・・・・　　・・・・・
「奇妙な冒険」が幕を開けたのを、譲はまだ――

・・・・
知れない。