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「君はそんなことをして楽しいのか?」
「えぇ、勿論。
でなければやらないもの」
足元には血の水溜まりが出来ている。
その中心で座り込んでいる少女、刹那はアゼルに目もくれず人だったモノを見詰めていた。
「芸術センスの欠片もない殺り方だ」
アゼルは刹那の側にクスクス笑いながら近寄った。
「お前にそんなことを指摘される覚えはない。
…………吸血鬼風情が」
「血を吸われる時の表情は素晴らしいものだよ」
笑みを絶さずにアゼルは話す。
そんなアゼルを鬱陶しく感じてきた刹那は少しだけ顔をアゼルに向けた。
「邪魔」
「何故だ?」
「気が散る」
「死んだ人間なんて観察して何になる」
「アタシの勝手だ」
動かなくなったモノをうっとりとした様子で見つめる。
まるでそれを愛しているように。
「君は人間が好きなのか」
「人何て大嫌いだ。……でも死んでモノになったら好き。」
とっても綺麗
目を細めて優しい顔でソレの切断された腕を手に取る刹那。
満月の光に照らしながら高く掲げ色々な角度から眺める。
「私は君が好きなんだがね」
一瞬刹那の動きが完全に停止する。
腕が手から地面に落ちるのも気にせずにアゼルの方を向いた。
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