一方的な恋のお話

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あの子が大好きで大好きで、この気持ちをどうしたら抑えられるのか。 好き好き好き 好きの感情が心の空白を埋めていく。 ある日ふと歩いていると目の前には愛しいあの子。 「どうしたんだい?」と思い切って声を掛けてみた。 するとあの子は「お見舞いに行くの」とにっこりと微笑んでくれたんだ。 あぁ……この笑顔をずっと自分にだけ向けてくれたならどれだけ幸せなんだろう。 ずっとこの子の近くでずっと一緒に……。 「それでは私は行きますね。」 あの子はくるりと方向を変えて通り過ぎようとした。 何でだろう、今ここで僕の気持ちを伝えないと、もう二度とあの子には届かない気がしたんだ。 もうあの子に気持ちは届かない?そんなの嫌だ!嫌だ嫌だ嫌だ!! 「少し時間をくれるかな?」 咄嗟にあの子の腕を掴んで呼び止めた。 「どうしたの?」あの子は心配そうに顔を覗き込んだ。 このままずっとこうしていたい。もう誰にもこの子を盗られたくない。 「ずっと君のことが好きなんだ。」 あの子はそれを聞くと一瞬動きが止まってだんだんと顔を林檎のように赤く染めた。 もうこのまま食べてしまいたいくらいに。 「貴方の気持ちは嬉しいわ。でも付き合うという意味でなら……ごめんなさい。」 そう言うとあの子は申し訳なさそうに俯いてしまった。 ……どうやら僕は振られてしまったらしい。 あの子は「もうそろそろ行かないと心配されるから」と言ったので掴んでいた腕を名残惜しくも離す。 あの子は一度頭を下げて進むべき方向へ向かって行った。 あぁ、僕はずっと君が好きだったのに……この思いはあの子に届かなかった。 この思いが伝わって欲しかった。ずっとあの子の側にいたかった。 ずっとあの笑顔を僕のモノにしたかった。 ……あっそうか。 伝わらないのなら  一 緒 に な れ ば い い 
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