ー二夜目ー

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今日もここで待っていれば、彼はやって来るのだろうか? 俺は先に進む事も忘れ、 ずっとこの場所で待っていた。 「まだ居たのですか?」 来た…… 「もう少し、話が聞きたいと思ってね」 「今夜は双子星が輝いています」 「双子星?」 「見えませんか?寄り添うように二つの星が輝いているのが」 空を見上げてもそんな星なんか見えない 「お話しましょう…… 双子星のお話を」 こんな時期に転校生なんて珍しい。 どうせ何かやからして 退学にでもなったんだろう。 学校で友達なんか作る気はない。 友人だの仲間だの馬鹿らしい…… 「よろしく」 その転校生が隣に座った 「めんどくせぇ…」 それが初めてそいつに言った言葉。 普通の奴らは俺を怖がるのに、そいつは笑いかけて来た。 毎日、話し掛けてくるそいつと気がつけば俺の嫌いな友達とやらになっていた。 「僕、君の事が好きみたい……おかしいよね… ごめん……忘れて」 不思議と嫌な気分はしなかった。 だって、俺もこいつが好きになりかけていたから 毎日、飽きる事なく一緒に過ごす日が多くなり、 友情が愛情にかわった。 半年前はめんどくさい奴が、今は俺の腕の中で照れ臭そうに笑っていた。 「あっ、肩にほくろがあるね…僕もあるんだよ」 俺は右肩、そいつは左肩にほくろがあった。 「やっぱり僕達は生まれた時から結ばれる運命だったのかも」 指を絡めながら何度も愛し合い、二人の夜を過ごした。 「そうだ、今日家に来て…母さんが久しぶりに海外から帰って来たんだ」 こいつは母親と二人暮らし、俺は父親と二人暮らし。 境遇も似ていた。 そして、初めてこいつの家に行った。 「母さん、友達の青だよ」 「はじめまして」 こいつの母親は俺を見て、突然泣き出した 「……母さん?どうしたの?」 「……青…大きくなって……緑…青は貴方の双子の兄さんよ」 普通なら劇的な再会を喜ぶはずだったけど…… 俺達の顔は二人共青ざめていた 確かにみんなに似ているとからかわれていたけど、今思えば当たり前だよな 双子なんだから でも、俺達は別れたりはしない いつまでも一緒に居ると約束したから…… だから二人で手を繋ぎ、 永遠を目指して空高く飛んだんだ (愛してる…兄さん) 「二人は?」 「あの星で笑っているでしょ?」 さっきまで見えなかった二つの星が、キラキラと輝いていた。 双子星……image=267025781.jpg
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