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『どちらにしましょう』
そう言った婦人は、私を連れていった。
振り返るとアイツも誰かに連れていかれた
『…』
『…』
2人の目線が重なった
私は小さく手を振った
アイツも小さく手を振った
しんしんと降る雪の音も聞こえた
その冬が過ぎ、
また冬がきて、
また冬が過ぎる。
巡り巡る季節の中
君は王子になった。
私をもらっていった夫婦は、始めのうちこそ可愛いがっていたが、
子供ができると飽きたように私を放ったらかした。
片や王子。
片や召使い。
私はアイツを忘れたコトはない
憎いとは思わなかった
憎かったのは自分の運命
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