前世           【シンデレラ】

8/24
前へ
/116ページ
次へ
『どちらにしましょう』 そう言った婦人は、私を連れていった。 振り返るとアイツも誰かに連れていかれた 『…』 『…』 2人の目線が重なった 私は小さく手を振った アイツも小さく手を振った しんしんと降る雪の音も聞こえた その冬が過ぎ、 また冬がきて、 また冬が過ぎる。 巡り巡る季節の中 君は王子になった。 私をもらっていった夫婦は、始めのうちこそ可愛いがっていたが、 子供ができると飽きたように私を放ったらかした。 片や王子。 片や召使い。 私はアイツを忘れたコトはない 憎いとは思わなかった 憎かったのは自分の運命
/116ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加