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それは、暮れもおしつまった12月の事だった。
友達の潤子から、一通のメールが、「伶ちゃん助けて、友達のお父さんが亡くなって、明日通夜なの。言いにくいんだけど、香典代貸してくれる?」
ほう、そうきたか。今度は、香典ねぇ、この前は、友達の兄さんだったよな。
「貸してあげたいけど、家も厳しくてね、他に誰がいないの?」 いるわけがない。あちらこちらで、借金してる彼女にお金を貸す人なんているはずもない。
「いろいろ聞いてみたんだけど…。」
「ちなみにいくら?」
「一万あれば足りると思う。」
しばらく考えてこれが最後の慈悲にしょうと思った。亡くなった友達のお父さんには何の責任もない。
「いいよ、今はないから明日取りにきて。」
「ありがとう、助かります。明日昼前に行くからよろしくね。」
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