ヒミツの恋

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「どうしたの二人ともそんな顔して?」 「だって最近美雨、なんだか元気なかったから。 一見いつも通りに笑ってるように見えるけど、心ここにあらずって感じで」 絵里がそんな風に思っていたなんて全然気づかなかった。 最近私はハルに恋をしてしまったことに気づき 忘れなきゃ、忘れなきゃって。 そんなことばかり考えていた気がする。 それが絵里達に心配かけていたなんて。 「ごめんね」 「いいよ謝らないで!!」 「そうだぞ篠原。 こんなやつに謝る必要なんてこれっぽっちもない」 「なっ!? はぁー、とにかく何かあるなら相談してね? 話聞くだけしか出来ないかもしれないけど…… 言えば楽になるってこともあるから」 「ありがとう。でもなんでもないから……気にしないで?」 ごめんね絵里。 でもやっぱりこれだけは言えないよ。 「美雨……」 絵里はまだ何か言いたそうな表情をしていたけど、それ以上何も言わなかった。 ふと窓の外を見たらハルと目があった。 ハルはニッコリと微笑んで手を振ってくれた。 あんな話を聞いた後だったから一瞬躊躇ってしまったが、私も慌てて手を振りかえした。 「へぇー晴季くんもあんな顔するんだねぇー。 やっぱり家族は違うのかねぇー?」 「そうかな……」 絵里が何気なく言った家族という言葉に傷ついた私がいた。 そう家族なんだよ。 当たり前だ。 どうしてそんな言葉に傷つくの? 馬鹿みたい。 私が自己嫌悪に陥っていたその後ろで 「やっぱり気に入らねぇな」 と呟いた奥村くんには気づけなかった。
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