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「小野と言えば、小野妹子だねぇ?遣唐使だっけ?」
律子が笑って言った。
「小野妹子は遣隋使だ。遣唐使は小野篁の方…。渡海はしなかったが、遣唐副使だったそうだ」
樹は訂正した。
「あはは!詳しいわね!」
「ちょっと飲み過ぎじゃない?りっちゃんが馬鹿に見えるわ」
春名が律子に水を渡す。
「あら。それは大変。ちょっと寝るわ」
そう言って水を一気に飲み干すと、ソファーにそのまま横になる。
「七時に起こして」
それだけ言うと、律子は直ぐに寝入ってしまった。
「…何というか…気儘な人だな」
「そうね」
春名がくすりと笑う。
それに釣られて、表情が少し緩んだ。
「あ…樹くん。初めて笑ってくれたね」
春名が嬉しそうに言った。
「笑った…?自分が?」
自分でも驚いた。
笑うなんて…本当に何年振りだろうか。
「樹くん。今日から末永く宜しくね」
「…ああ。宜しく頼む」
いつまで、続くのか不安は残るが…それまでは共に。
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