同じ景色

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中学に転入した樹は、一番後ろの席を指定した。 知らない人間に囲まれるのは、やはりまだ恐かった。 「なぁ、転校生。その頭の飾りは校則違反じゃないか?」 そう言って、話し掛けてきた男子生徒。 髪の珠飾りは赤色や緑色をしていて、かなり目立つ。 「…許可は貰っている」 樹は答えた。 初対面の相手には、良く聞かれる。 「ふぅん。あ、俺は真部って言うんだ。真部武。宜しくな」 男子生徒は納得したのか、笑って言った。 放課後、部活に勤しむ一部の生徒が残る校内を見て回る。 校内の構図を覚える為でもあったし、これから過ごす場所に、異常が無いか確認する為でもあった。 屋上に向かう階段を上がって、樹は踊り場で立ち止まる。 「あ?何だ、お前」 煙草を吹かす数人の男子生徒。 どうやら、不良の溜まり場だったらしい。 「女みたいな飾りしてんぞ?こいつ」 不良が樹を囲み、ニヤニヤと笑う。 「何の用だよ?此処は俺らの溜まり場だって知らないのかよ」 だが、樹は不良を無視していた。
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